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羅臼昆布とは(出汁の取り方・使い方など)

(更新日: 2019/5/11)

昆布の王様とも呼ばれる「羅臼昆布(らうすこんぶ)」について、この記事では産地・製造工程・種類・選び方・出汁の特徴・使い方・保存方法などを詳しく解説します。

羅臼昆布に限らず、様々な昆布の種類について知りたい方は「昆布の種類と選び方」をご覧ください。

目次
1. 羅臼昆布(らうすこぶ)とは
2. 製造工程
3. 出汁の特徴
4. 出汁の取り方(煮出し法・水出し法)
5. 向いている料理
6. 昆布出汁の保存方法
7. 最後に

1. 羅臼昆布とは

羅臼昆布(らうすこんぶ)は正式名称を「りしり系えながおにこんぶ」と言い、知床半島の南側にある羅臼町沿岸のみに生息しています。
羅臼町の周辺海域は、大陸からの流氷羅臼川をはじめとする何十もの河川からミネラルなどの栄養が注がれます。
とても栄養が豊富な海域ですので「昆布の王様」とも呼ばれる羅臼昆布が育ちます。
羅臼昆布を採取できる海域は狭く、とても希少な昆布(採取量: 200~500トン前後/年)です。実際、羅臼昆布は昆布の中でもっとも高額で取引されています。

図: 羅臼昆布が採取できる海域

2. 羅臼昆布ができるまで

羅臼昆布が高額で取引される理由は、高品質であることに加え、他の昆布よりも製造工程が多いことが挙げられます。

通常の昆布は「収穫→洗浄→天日干し→選別」を1週間程度で行います。
羅臼昆布は天日干しをした後に、夜露で湿らせ伸ばし再び乾かすことを繰り返すため、3週間程度掛かる場合もあります。

図: 羅臼昆布ができるまで

ヒレ刈りとは、羅臼昆布の周りのヒレのような薄い部分を取り除き、整形する作業です。
この独自の製造工程により、見た目が平らで美しくなり、細胞壁が破壊され出汁が抽出されやすくなります。

3. 羅臼昆布の種類と選び方

羅臼昆布を選ぶときに商品パッケージに「天然/養殖」、「等級」、「走り/羅(後取り)」、「黒口/白口」などの情報が記載されている場合があります。これらはどのように異なるのでしょうか?

①「天然」と「養殖」
天然は希少価値が高く縁起物としても扱われるため、贈答用に向いています。一方、ご家庭での普段使いであれば養殖でも十分です。

天然文字の通り、天然の昆布です。採取量が少なく、最も高値で取引されます。
一方、天然ものですので、品質(色や厚みなど)にむらがある場合があります。
養殖2年かけて養殖された昆布です。良い種を選び、良い環境で育てますので、品質が安定しています。

②「等級」
羅臼昆布はその品質(厚さ、幅、長さ、色など)から1~4の4段階の等級に格付けされています。
一般的に等級が高いほど良い出汁が取れますが、ご家庭用であれば3等級で十分です。
1等級、2等級は高価ですので、贈答用特別な料理のときに使いましょう。

③「走り」と「羅(後取り)」
羅臼昆布の漁は毎年7月中旬から8月下旬にかけて行われます。その前半に採取されたものを「走り」後半に採取されたものを「羅(旧: 後取り)」と呼びます。

走り肉質が柔らかく、良い出汁が取れます。「羅」よりも良いとされています。
羅(後取り)昆布漁の後半に採取されたものを「羅」と呼びます。昔は「後取り」と呼ばれていました。肉厚があり見た目がしっかりしていますが、出汁が濁りやすい特徴があります。

④「黒口」と「白口」
さらに羅臼昆布は表皮が黒色の黒口と、赤褐色の白口に分かれます。黒口は見た目が良く、白口よりも高額で取引されています。

まとめると、最も高級な羅臼昆布は「天然・1等級・走り・黒口」で、贈答用に使われることが多いです。ご家庭での出汁用でしたら「養殖・3等級」、食用でしたら「羅(後取り)」で十分です。

4. 羅臼昆布の出汁の特徴

羅臼昆布は昆布の中で最も濃厚な出汁が取れると言われています。
香りはしっかりとしていて、味は濃厚で甘味があり、黄色味を帯びています。
とても主張が強い出汁ですので、合わせだしよりも、昆布単体の出汁に向いています。
しかし、出汁が黄色く濁ってしまうことから、お吸い物などには敬遠されがちです。

5. 羅臼昆布の出汁の取り方(煮出し法・水出し法)

羅臼昆布は煮出し法でも水出し法でも出汁を取れます。
なお、このレシピでは水1リットルに対して羅臼昆布15gの分量を「目安」としています。格付けによっても出汁の濃さが変わってきますので、お好みで昆布の量を調整してください。

煮出し法

材料:水1リットルに対して、羅臼昆布15g(目安)

羅臼昆布の汚れを取ります
サッと水洗いするか、固く絞った濡れ布巾で拭いて、表面の汚れを取り除きます。

水に30分ほど浸け置きます
鍋に水1リットルと昆布を入れ、30分ほど浸け置きます。時間がある時には1時間ほど浸け置くと、より出汁が抽出されやすくなります。

弱火から中火弱に掛けます
ゆっくりと時間を掛けて煮出しますので、火力は弱めに設定してください。

昆布の切り口から気泡が出てきたら、火を止めます
昆布出汁を抽出する理想の温度は60℃で、気泡が出てくるのが60℃の目安です。60℃を超えると昆布から雑味のもとが出てきます。

昆布を取り出したら、完成です
取り出した昆布は料理に使えます。すぐに使わない場合はラップに包んで冷凍庫保存してください。

煮出して取った羅臼昆布出汁です
やや黄色味がかっていますが、澄んだ色です。昆布のうま味が濃厚な味です。

水出し法

材料:水1リットルに対して、羅臼昆布15g(目安)

流水で丁寧に羅臼昆布の表面の汚れを取り除きます
火を入れませんので、雑菌の繁殖を防ぐためにも表面の汚れを洗い流します。

鍋に水と羅臼昆布を入れ、冷蔵庫で8時間ほど置きます
こぼれないようにラップや蓋をすることをオススメします。蓋付きのポットでも作れます。

羅臼昆布を取り出して、完成です
取り出した昆布は料理に使えます。すぐに使わない時には、ラップをして冷凍庫保存すると良いです。

水出しで取った羅臼昆布だしです
煮出しに比べ澄んだ淡い色です。うま味は濃厚ですが、スッキリとした後味です。

6. 羅臼昆布のレシピ

羅臼昆布は、しっかりとした濃厚な出汁が特徴ですので、昆布らしい風味を活かせる料理に向いています。
例えば、鍋料理・薄味の料理・麺つゆ・塩ラーメンスープなどが挙げられます。
ここでは、「まいにち、おだし。」で紹介している羅臼昆布のレシピをご紹介します。

羅臼昆布を使った濃厚昆布出汁のうどん

羅臼昆布を使った濃厚昆布出汁のうどん

この記事では、羅臼昆布出汁を使った麺つゆの作り方をご紹介します。昆布の中でも、とても濃厚な出汁が取れるのが羅臼昆布です。その羅臼昆布出汁を主軸に、調味料(薄口醤油・日本酒・塩)を加えてできあがるのが、濃厚昆布出汁の麺つゆです。調味料は味を整える程度の量しか使っていませんので、昆布の風味をはっきりと感じられると思います。
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羅臼昆布出汁の水炊

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このレシピでは、羅臼昆布で作る塩ふき昆布の作り方を紹介します。塩ふき昆布(しおふきこぶ)は、そのまま食べたり、「お茶漬け」や「昆布茶」に利用したりできる便利な一品です。ここで使っている羅臼昆布は、肉質が柔らかくうま味が強い昆布ですので、塩ふき昆布に適しています。漬物・和え物・サラダには調味料代わりにもご利用いただけます。
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羅臼昆布の昆布水の作り方はこちらをご覧ください。
昆布水の作り方(昆布の選び方・健康効果・注意点)

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また、羅臼昆布は出し殻(だしがら)も料理に活用いただけます。
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7. 羅臼昆布/出汁の保存方法

① 羅臼昆布の保存方法
羅臼昆布に限らず、昆布は高温多湿・直射日光を避け、密閉容器に入れて常温で保存してください。
昆布が水に濡れてしまうとカビが生えてしまう場合もありますので、注意してください。

② 羅臼昆布の出汁の保存方法
羅臼昆布の出汁は冷蔵庫で3~4日ほど、冷凍庫で3週間ほど保存できます。
頻繁に昆布だしを使うのであれば、取り置きしておくと便利ですよ。

最後に

羅臼昆布は他のだし昆布と比べて、濃厚な味わいが特徴です。出汁がしっかりとしていますので、使う調味料(塩など)の量を抑えても、料理を美味しくいただけますよ。

参考文献
・大石圭一『昆布の道』(第一書房)
羅臼町ホームページ
・木下, 郁恵; 高嶋, 幸男『羅臼昆布はなぜ高いか?の授業 : 地域教材の開発と授業の検討』(北海道教育大学学術リポジトリ)

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