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真昆布とは(出汁の取り方・使い方など)

(更新日: 2021/12/17)

この記事では、真昆布(まこんぶ)の産地・種類と選び方・出汁の特徴と使い方・保存方法などを細かくご説明しています。

目次
1. 真昆布(まこんぶ)とは
2. 真昆布の種類と選び方
3. 真昆布の出汁の特徴
4. 真昆布の出汁の取り方(煮出し法・水出し法)
5. 真昆布のレシピ
6. 真昆布/出汁の保存方法

1. 真昆布とは

真昆布は、北海道の函館近海で収穫される昆布です。出汁が透明で上品な風味であることから最高級の昆布とも呼ばれます。主張が少ない昆布ですので、カツオとの合わせ出汁にも向いています。佃煮、塩ふき昆布、とろろ昆布・おぼろ昆布などに加工されることもあります。

真昆布

[図:真昆布が採取できる海域]

真昆布は、羅臼昆布・利尻昆布と並んで「三大だし昆布」と言われています。
また、真昆布には「山出し昆布(やまだしこぶ)」という別名もあります。

2. 真昆布の種類と選び方

一口に「真昆布」と言っても、さまざまな分類方法があります。スーパーマーケットなどで真昆布の商品パッケージをご覧いただくと「天然/養殖/促成」、「等級」、「銘柄」、「元揃/折/長切」などが記載されていると思います。これらは真昆布の品質や使い方を判断する上でとても大切なポイントです。

① 生育方法(天然/養殖/促成)
昆布の生育方法によって天然、養殖、促成栽培の3種類に分類されます。一般的に天然>養殖>促成栽培の順に高価です。天然と養殖は2年かけて生育しますので、厚みがあり良い出汁が取れます。一方、促成栽培は1年で採取しますので、天然や養殖と比べると薄く、カツオとの合わせ出汁や食用に使用されることが多いです。

天然文字の通り、天然の昆布です。採取量が少なく、最も高値で取引されます。
一方、天然ものですので、品質(色や厚みなど)にむらがある場合があります。
養殖二年かけて養殖された昆布です。良い種を選び、良い環境で育てますので、品質が安定しています。
促成栽培一年かけて養殖される昆布です。成長の早い種が使用されますが、生育期間が短いため、天然・養殖と比べると薄く、品質が劣ります。

※ 商品パッケージに育成方法が書かれていない場合は、ほとんどが促成栽培であると考えられます。

②「等級」
真昆布はその品質(厚さ、幅、重さなど)から1等級から4等級の4段階に分類されています。等級が高いほど高価で、良い出汁が取れると言われています。1等級は形が良いため贈答用に選ばれることが多いです。4等級には品質の下限が定義されていませんので、3等級以上を選ばれることをオススメします。
※ 商品パッケージに等級が記載されていない場合は、ほとんどが4等級であると考えられます。

③「銘柄」
真昆布は育成される浜によって銘柄が付けられています。
銘柄には、道南三銘柄と言われる「白口浜」「黒口浜」「本場折浜」に加え、「上磯折浜」「茅部折浜」などが挙げられます。
この銘柄は品質に表れ、浜によって格付けされることを「浜格差」と言います。この中でも「白口浜」の真昆布は松前藩が朝廷に上納していたことから「献上昆布」とも呼ばれ、最高級の扱いを受けています。

④ 加工方法(元揃/折/長切など)
昆布の仕上げ方によっても、いくつかの種類があります。伸展(伸ばして広げること)されたものは昆布の細胞壁が破壊されますので、出汁が出やすい特徴があります。伸展されていないものは形が崩れにくいため、煮物などの食用に向いています。
メーカーによってもサイズが様々ですので、ご家庭用であれば使いやすい大きさのものを選んでいただければと思います。

元揃昆布(もとぞろいこんぶ)昆布を伸展して乾燥させ、葉元を三日月形に丸く整形したもの。
折昆布(おりこんぶ))昆布を伸展して乾燥させ、一定の長さに折りたたんだもの。
長切昆布(ながきりこんぶ)昆布を乾燥させ、一定の長さに切ったもの。伸展していないので形が崩れにくく、煮物などの食用に向いている。

まとめると、最も高級な真昆布は「天然/1等級/白口浜」です。これは、普段使いよりも、贈答用や縁起物(婚礼や神社への献納など)に適しています。料亭で使われることが多いのは2等級前後の昆布です。ご家庭用でしたら、昆布単体の出汁を取るのであれば「養殖/3等級」カツオとの合わせ出汁を取るのであれば「促成栽培」でも大丈夫です。

オススメの真昆布

北海道産の真昆布です。上品な甘みとコクがあり、澄んだ色あいの出汁が取れます。
約1gの大きさにカットしているので料理に使いやすいです。
単体では湯豆腐や水炊き鍋に。かつおとの合わせ出汁にも向いています。
真昆布を1枚入れてご飯やお粥を炊くと、お米の甘みが活きます。

3. 真昆布の出汁の特徴

真昆布からはとても上品な昆布出汁が取れます。他の昆布と比べ、香りがよく、ほのかな甘味とコクが特徴です。色は透明で澄み切っています。
清澄な出汁ですので、昆布単体で使うと、食材の風味や色合いを活かしてくれます。
また、主張が少ない出汁ですので、かつお等との合わせ出汁にも適しています。

4. 真昆布の出汁の取り方(煮出し法・水出し法)

真昆布は煮出し法でも水出し法でも出汁を取れます。
なお、このレシピでは水1リットルに対して真昆布15gの分量を「目安」としています。格付けによっても濃厚さが変わってきますので、お好みで昆布の量を調整してください。

煮出し法

材料:水1リットルに対して、真昆布15g(目安)

真昆布の汚れを取ります
昆布は天日干しをしますので土埃などの汚れがついている場合があります。サッと水洗いするか、固く絞った濡れ布巾で拭いてください。

水に30分ほど浸け置きます
鍋に水1リットルと昆布を入れ、夏場であれば30分ほど、冬場であれば90分ほど浸け置きます。

弱火から中火弱に掛けます
ゆっくりと時間を掛けて煮出しますので、火力は弱めに設定してください。

昆布の切り口から気泡が出てきたら、火を止めます
昆布出汁を抽出する理想の温度は60℃です。気泡が出てくるのが60℃の目安です。それを超えると昆布から雑味のもとが出てきます。

昆布を取り出したら完成です

煮出して取った真昆布出汁です
澄んだ淡い色です。甘味があり上品な風味です。

水出し法

材料:水1リットルに対して、真昆布15g(目安)

流水で丁寧に真昆布の表面の汚れを取り除きます
雑菌の繁殖を防ぐためにも、表面の汚れをていねいに洗い流します

鍋に水と真昆布を入れ、冷蔵庫で8時間ほど置きます
他の食材の匂いが移らないようにラップや蓋をすることをオススメします。蓋付きのポットをご使用いただいても大丈夫です。

真昆布を取り出して完成です

水出しで取った真昆布だしです
煮出し法に比べ、澄んだ淡い色が特徴ですが、濃厚でうま味があります。

5. 真昆布のレシピ

真昆布出汁は、上品な甘みでコクがあります。澄んだ出汁ですので、薄味の料理・吸い物仕立ての麺つゆ・塩ラーメンスープなどに向いています。また繊維質が柔らかいので、出汁を取りながらそのまま食べる煮物や炊き込みご飯や昆布締めにもご利用できます。
ここでは、「まいにち、おだし。」で紹介している真昆布のレシピをご紹介します。

① 真昆布出汁の湯豆腐

真昆布出汁の湯豆腐

このレシピでは、真昆布出汁の湯豆腐のレシピを紹介します。作り方はとてもシンプルですが、繊細な味が特徴で、和食の一つとして昔から愛されてきました。真昆布からは、上品な甘みとコクがあり、澄んだ色をした出汁が取れますので、豆腐の白さや大豆の風味を活かしてくれます。
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② 真昆布で作る鯛の昆布締め

真昆布で作る鯛の昆布締め

このレシピでは、真昆布を使った真鯛の昆布締めの作り方をご紹介します。昆布締め(「昆布〆」とも書きます。)は、素材を昆布で挟むことで、素材そのものの旨味を活かす料理です。このレシピでは真鯛を使っていますが、他の魚(ヒラメ・イサキ・サーモンなど)、青菜(菜の花・小松菜など)、チーズ類の昆布締めも美味しいですよ。
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③ 真昆布で作るクーブジューシー(昆布の炊き込みご飯)

真昆布で作るクーブジューシー(昆布の炊き込みご飯)

このレシピでは、真昆布を使った「クーブジューシー」の作り方を紹介します。クーブジューシーは沖縄の郷土料理で、「昆布の炊き込みご飯」を意味しています。昆布は海の野菜と言われるほど、ビタミンやミネラルが豊富です。また、昆布のうま味成分はグルタミン酸であり、沖縄の豚肉料理(うま味:イノシン酸)と相性がとても良いのです。
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真昆布の昆布水の作り方はこちらをご覧ください。
昆布水の作り方(昆布の選び方・健康効果・注意点)

昆布水の作り方(昆布の選び方・健康効果・注意点)

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また、真昆布は出し殻(だしがら)も料理に活用いただけます。
だしがらを利用してもう一品を作る方法)

だしがらを利用してもう一品を作る方法!(昆布編)

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6. 真昆布/出汁の保存方法

① 真昆布の保存方法
真昆布に限らず、昆布は高温多湿・直射日光を避け、密閉容器に入れて常温で保存してください。
昆布が水に濡れてしまうとカビが生えてしまう場合もありますので、注意してください。
詳しくは下記の記事を参考になさってください。

だし素材の保存方法

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② 真昆布の出汁の保存方法
真昆布の出汁は冷蔵庫で3~4日ほど、冷凍庫で3週間ほど保存できます。
頻繁に昆布だしを使うのであれば、取り置きしておくと便利ですよ。

最後に

真昆布は、とても清く澄んだ甘みのある出汁が取れます。単体でも、合わせ出汁でも利用できる万能な出汁昆布ですので、ぜひ料理にご活用ください。

参考文献
・大石圭一『昆布の道』(第一書房), 1987年
・一般社団法人日本昆布協会『昆布手帳』, 2018年
・北海道昆布事業協同組合『北海道産こんぶ製品格付関係例規集』, 2005年

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