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日高昆布とは(出汁の取り方・使い方など)

(作成日: 2019/5/26)

日高昆布(ひだかこんぶ)について、この記事では産地と製造工程・種類と選び方・出汁の特徴と使い方・保存方法などを細かく説明しています。日高昆布について詳しくなりたい方はぜひご覧ください。

この記事は次のような疑問を持っている方にオススメです
「日高昆布って名前は聞いたことあるけど、どんな昆布なの?」
「日高昆布にはどんな使い方があるの?」
「良い日高昆布、悪い日高昆布の見分け方が知りたい」

昆布全般(羅臼昆布や利尻昆布など)について知りたい方は別の記事をご参照ください。
昆布の種類と選び方昆布の出汁の取り方がオススメです。

目次
1. 日高昆布とは
2. 日高昆布ができるまで
3. 日高昆布の種類と選び方
4. 日高昆布の出汁の特徴
5. 日高昆布の出汁の取り方(煮出し法・水出し法)
6. 日高昆布のレシピ
7. 日高昆布の出汁の保存方法

1. 日高昆布とは

日高昆布とはみついし昆布(標準和名: ミツイシコンブ)の銘柄の一つです。

みついし昆布は日高、十勝、釧路、道南(函館)の4地区で採取され、そのうち日高地区で採れたものを日高昆布と呼びます。

ただし、日高昆布の名前がとても有名になったため、みついし昆布のことを日高昆布と呼ぶこともあります。ですので、十勝や釧路で採取されたみついし昆布であっても「日高昆布」の名前で販売されていることがあります。

日高昆布の色は、下の写真のように濃緑に黒みを帯びています。

日高昆布は平らに整形されずに出荷されるものがほとんどです。
平らに整形される羅臼昆布や利尻昆布と比べると、表面が凸凹しています。

みついし昆布の命名は北海道の三石(みついし)で採れたことに由来します。三石はアイヌ語のピットウシに由来し、意味は「小石の多い土地」です。

日高昆布の用途

昆布には出汁昆布と食用昆布の2種類があり、用途に合わせて使い分けます。
例えば、羅臼昆布は出汁昆布、棹前昆布は食用昆布です。

昆布の中でも珍しく、日高昆布は出汁昆布としても食用昆布としても使えます。

日高昆布の出汁はコクがあり、しっかりとした昆布らしい風味が特徴です。
また、煮上がりが早く、肉質が柔らかいのですが、型が崩れないため、佃煮や昆布巻きなどにも利用されます。

日高昆布の採取場所

日高昆布はえりも岬の近海で採れます。
えりも岬は、知床半島から太平洋を南下してくる親潮が、南から流れてくる黒潮(暖流)とぶつかる好漁場です。
また、日高地区には山々の栄養を含んだ河川が流れ込んできますので、とても栄養が豊富な海域です。

[図: 昆布が採取できる海域]

山と海は関係ないように思いがちですが、豊かな森林が恵みの海を造ります。日高で昆布を採りだしたのは江戸時代のはじめ頃でした。明治になると、多くの新しい人たちがえりもの地に入り昆布を採る人が増え、冬になると森の木を切りストーブの燃料にしました。また家畜の放牧により草も食べられ、えりもの森ははげ山のようになりました。その結果海では昆布が採れなくなってしまいました。昭和15年、「緑豊かな森を育てなければ昆布も育たない」という考えから、草の種を蒔き苗木を植える試みが始まり、昭和50年代になると、海はかつての豊かさを取り戻しはじめ、昆布も育ち始めました。

2. 日高昆布ができるまで

日高昆布の漁は7月上旬から9月下旬(年によっては10月中旬)まで行われます。
「かぎ」や「ねじり」と呼ばれる漁具を用いて丁寧に採取され、天日乾燥で仕上げられます。
拾い昆布漁(海岸に流れ着いた昆布を採ること)は一年を通して行われます。

ご参考までに、日高昆布が収穫されてから出荷されるまでの流れは次のようになります。

[図: 日高昆布ができるまで]

※ 製造の流れは業者によって異なりますので、あくまで一例として捉えてください。

3. 日高昆布の種類と選び方

日高昆布の商品パッケージをご覧いただくと「天然」、「冬島」、「走り」、「3等級」などが書かれていると思います。これらは日高昆布の品質を見極める上で大切な情報です。

① 育成方法(天然のみ)
羅臼昆布や利尻昆布には養殖や促成栽培といった育成方法がありますが、日高昆布は基本的に天然のみです。
※ みついし昆布の別銘柄のみついし昆布道南(函館)には養殖があります。

そのため、日高昆布は次の「② 浜格差」や「③ 等級」が選ぶポイントとなってきます。

② 浜格差
日高昆布は採取される浜によって格付けされています。これは浜格差と呼ばれます。
良い昆布の取れる浜を特上浜とし、上浜、中浜、並浜と4段階に分かれています。
また、さらに上浜はA・Bの2段階、中浜はA・B・Cの3段階に分類されます。

特上浜井寒台
上浜A東栄・浦河・平宇・冬島・近笛
上浜B様似・本幌・歌別
中浜A三石・歌露
中浜B春立・萩伏・東洋
中浜C門別・静内・岬
並浜富浜・厚賀・新冠・庶野

良い浜には昆布が生育する良い環境が整っています。例えば、特上浜の井寒台は絵苗川と向別川に囲まれていますので、山からの栄養が豊富に注がれています。

 

③ 等級
日高昆布はその品質(厚さ、幅、長さ、色など)から1~5段階の等級に格付けされています。
等級が高いほど厚みがあるので、良い出汁が取れ、食べても美味しいと言われています。
贈答用には1等級、ご家庭用には3等級以上がオススメです。

④ 収穫時期(走り、後取り)
7月からはじまる収穫時期のうち、前半に採れたものを「走り」と言います。走りは後取り(収穫時期の後半に採れたもの)と比べると葉の厚みは薄いですが、良い出汁が取れると言われています。

まとめ

贈答用に日高昆布を選ぶのであれば、葉の形がしっかりとしていて、味も良い「上浜以上の1等級」がオススメです。
しかし、これらは高価ですのでコストパフォーマンスが良いとは言えません。ご家庭用でしたら「中浜以上、3等級以上」から試して、満足具合に合わせて浜や等級を変えてみると面白いと思います。
また、日高昆布を出汁昆布として使うのでしたら、良い出汁の取れる「走り」がオススメです。

4. 日高昆布の出汁の特徴

ほのかな香りでオレンジ色がかった淡い黄色の出汁が取れます。
風味は昆布らしく濃厚ですが、まったりした舌触りで後味がスッキリしています。

5. 日高昆布の出汁の取り方(煮出し法・水出し法)

日高昆布は煮出し法でも水出し法でも出汁を取れます。
このレシピでは水1リットルに対して日高昆布15gの分量を「目安」としています。
実際、浜格差や等級によっても出汁の濃さが変わってきます。料理によっても求められる濃さが異なりますので、お好みで昆布の量を調整してください。

材料:水1リットルに対して、日高昆布15g(目安)

煮出し法

日高昆布の汚れを取ります
日高昆布は折り重なっている部分がありますので、水洗いして表面の汚れを取り除きます。

水に60分ほど浸け置きます
鍋に水1リットルと昆布を入れ、夏場であれば30分、冬場であれば90分ほどつけ置きます。時間があれば、より長い時間浸け置いてください。

弱火から中火弱に掛けます
ゆっくりと時間を掛けて煮出しますので、火力は弱めに設定してください。

昆布の切り口から気泡が出てきたら、火を止めます
昆布から気泡が出てくるのが60℃で、昆布出汁を抽出する理想の温度です。60℃を超えると昆布から雑味のもとが出てきます。

昆布を取り出したら、完成です
色はやや黄色味がかっています。昆布の濃厚な風味が特徴的な出汁です。
昆布の出し殻で佃煮などを作れます。詳しくは「6. 昆布のレシピ」をご覧ください。

水出し法

流水で丁寧に日高昆布の表面の汚れを取り除きます
昆布の折り重なった部分もしっかり洗ってください。

鍋に水と日高昆布を入れ、冷蔵庫で8時間ほど置きます
他の食材の匂いが出汁に移らないように、ラップや蓋をすることをオススメします。

日高昆布を取り出して、完成です
黄味がかり、少し濁りのある出汁です。昆布のうま味は濃厚ですが、スッキリとした後味です。
煮出し法と同じように、昆布の出し殻で佃煮などを作れます。詳しくは「6. 昆布のレシピ」をご覧ください。

6. 日高昆布のレシピ

日高昆布は出汁用としても食用としても使える昆布です。
煮上がりが早いですし、厚みがあり食べごたえのある昆布ですので、昆布巻き・おでん・炒めものなどにご利用ください。出汁を取り、そのまま具として召し上がっていただくこともできます。
ここでは、「まいにち、おだし。」で紹介している日高昆布のレシピをご紹介します。

① 日高昆布とタコのうま煮

日高昆布とタコのうま煮

このレシピでは、日高昆布とタコのうま煮の作り方を紹介します。「うま煮」は「甘煮」が由来という説もあり、やや甘めの濃い味付けで煮た煮物を指します。具材は季節や地域によって異なります。このレシピでは日高昆布とゆでタコを使います。 日高昆布のうまみ成分(グルタミン酸)とタコのうまみ成分(イノシン酸)の相性が良い一品です。
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② 日高昆布で作る金目鯛とゴボウの煮付け

日高昆布で作る金目鯛とゴボウの煮付け

この記事では、日高昆布を使った金目鯛の煮付けの作り方をご紹介します。このレシピでは、醤油と日高昆布をベースにした甘辛い煮汁で、金目鯛とゴボウを煮付けます。日高昆布(うまみ成分: グルタミン酸)と金目鯛(うまみ成分: イノシン酸)はとても相性が良く、うま味の相乗効果がはたらく組み合わせです。
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③ 日高昆布で作るクーブイリチー

日高昆布で作るクーブイリチー

このレシピでは日高昆布を使うクーブイリチーの作り方を紹介します。クーブイリチーは沖縄県の琉球料理(郷土料理)で、昆布と豚肉の炒め煮を指します。中国の食文化の影響を受けた琉球料理は「豚に始まり豚に終わる」と言われるほど豚肉を使います。昆布は豚との栄養バランス・うま味の相性の良さから、古くから理想的な組み合わせとして食されてきました。
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また、日高昆布の出し殻(だしがら)で佃煮が作れます。
だしがらを利用してもう一品を作る方法

だしがらを利用してもう一品を作る方法!(昆布編)

煮干しのだしがらで作る甘辛煮、かつお節のだしがらで作るふりかけは以前ご紹介しましたので、今回は昆布のだしがらで作る佃煮をご紹介します。醤油とみりんと合わせるだけで、ご飯やおにぎりにぴったりの佃煮が簡単にできますよ!ゴマや山椒などを加えても美味しいです。
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7. 日高昆布出汁の保存方法

① 日高昆布の保存方法
日高昆布に限らず、昆布は高温多湿・直射日光を避け、密閉容器に入れて常温で保存してください。
昆布が水に濡れてしまうとカビが生えてしまう場合もありますので、注意してください。

② 日高昆布の出汁の保存方法
日高昆布の出汁は冷蔵庫で3~4日ほど、冷凍庫で3週間ほど保存できます。
頻繁に昆布だしを使うのであれば、取り置きしておくと便利ですよ。

最後に

日高昆布について詳しくなれましたでしょうか?
日高昆布は、出汁用にも食用にも使える万能な昆布ですので、常備しておくと便利ですよ。疑問点等ありましたら、こちらからご連絡いただければと思います。

参考文献
・大石圭一著『昆布の道』(第一書房)
北海道ホームページ
新ひだか町ホームページ
・川嶋康男『えりも砂漠を昆布の森に』(絵本塾出版)

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