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煮干しの種類と選び方

(更新日: 2021/07/02)

「煮干し出汁はどうやって取るの?」、「煮干しの種類が多すぎて違いが分からない!」、「というか、そもそも、煮干しって何!?」…そんな疑問を抱いているあなたに煮干しの基本から種類・選び方・使い方・レシピまでを幅広くご説明します。

 目次
 1. 煮干しとは

 2. カタクチイワシの煮干し
 3. その他の煮干し
 4. 煮干しで健康促進!
 5. 煮干し出汁の料理

 

1. 煮干しとは

「煮干し」と聞くとイワシを想像される方が多いかもしれませんが、実際には “魚介類を塩水で煮て乾燥させた食材” を煮干しと呼んでいます。これだけだと少し分かりづらいので、カタクチイワシを例にとり、煮干しの作り方を確認してみましょう。

■ カタクチイワシの煮干しができるまで

1.取る
活動前の夜明け前後を狙って漁獲します。腐らないようすぐに冷凍・冷蔵保存します。

2.洗う
真水で洗浄し、ゴミやぬめりなどを取り除き、新鮮に保ちます。

3.煮る
海水と同じ塩分濃度の塩水で煮ます。たんぱく質が固まり、腐敗しづらくなります。
※ 図は煮てせいろを上げたところです

4.干す
天日干しや乾燥機などを用いて、水分量が15%程度になるまで乾燥させます。

その名の通り、煮て・干していますね。魚介類が豊富な日本では、採りすぎた魚介類を保存する手段として煮干しの技術が発達しました。海に囲まれた島国ならではの保存方法です。

2. カタクチイワシの煮干し

イワシ、あご、エビなど様々な煮干しがありますが、まずはもっとも有名なカタクチイワシの煮干しをご説明します。カタクチイワシは、お味噌汁やうどん、鍋など様々な料理に使える便利なおだしです。また、うま味成分イノシン酸グルタミン酸が含まれているため、単体でもうま味の相乗効果が働き、料理の風味が一段と増します。

2.1. カタクチイワシとは
カタクチイワシはニシン目カタクチイワシ科に分類される魚です。面白いことに、地域によって いりこ じゃこ と呼ばれたり、背が青黒いため セグロイワシ と呼ばれたり、口が下がっているように見えるため タレクチ と呼ばれたりしています。また、その成長過程で しらすちりめんかちりかえりたつくりかたくち と呼び名が変わります。色々な呼び名を持っているのは、古くから日本の各地で食されてきたからですね。

世界には100種類以上のイワシが生息していますが、普通のお店で売っているイワシは「カタクチイワシ」「うるめいわし」「真いわし」の3種類です。

2.2. カタクチイワシの煮干しの見分け方
さて、そんなカタクチイワシですが、もっとも生産量の多い煮干しのため、商品の数が非常に多いです。実際、お店の煮干しコーナーには袋詰されたカタクチイワシが何種類も並んでいると思います。
そこで本章では、色や大きさをヒントに用途や種類を見分けるコツをお伝えします。

(1) 背の色による見分け方
カタクチイワシをよく見比べると、背中の色が青と白の2種類に分かれることに気が付きます。背の色によって味も異なり、青口(青色)はしっかりとした出汁関東好み白口(白色)はまろやかな出汁四国・九州好みと言われています。これはカタクチイワシの育った環境が影響していて、日本海や太平洋などの外海で育ったものは青く、瀬戸内などの内海で育ったものは白くなる傾向があります。

青口(関東好み)

白口(四国・九州好み)

イワシ類の背が青いのは、海の色と同化し、鳥などの空中の外敵から身を隠すためです。また、腹が銀色なのは、水面の色と同化し、水中の外的から身を隠すためです。

(2) 大きさによる見分け方
カタクチイワシは大きなサイズであればコクのあるしっかりとした出汁が取れ、小さなサイズであればクセのないあっさりとした出汁が取れます。これは、サイズが大きな煮干しほど脂肪の量が多く、コク(雑味)が出やすいためです。このため、カタクチイワシは大きさごとに名前(小羽 < 小中羽 < 中羽 < 中荒 < 大羽)が付けられています。

しっかりとした出汁は味付けの濃い料理に、あっさりとした出汁は薄味の料理に適しています。

(3) 良い煮干しの見分け方
背の色やサイズでの見分けられるのは、煮干しの用途です。では、煮干しの良し悪しはどのように見分けるのでしょうか?次のポイントを確認してみてください。

✓ 黄色く変色していないこと: 煮干しに含まれる脂肪分が酸化すると、表面が黄色く変色します。変色した煮干しは臭みが増し、良い出汁が取れなくなってしまいます。
腹割れしていないこと:原材料などに問題があると、製造工程(塩水で煮ているとき)に腹割れしてしまうことがあります。すると、腹割れした部分からうま味や栄養が逃げてしまいますので、美味しい出汁が取れなくなります。
傷がないこと:これも腹割れと同じで、傷ついた部分からうま味や栄養分が逃げてしまっている場合があります。

例) 良い煮干し
腹が銀色であり、傷がない

例) 悪い煮干し
黄色く変色し、腹割れもしている

2.4. カタクチイワシの煮干しの使い方
煮干しは出汁を取ることもできますし、そのまま食べていただくこともできます。

(1) そのまま食べる
小さな煮干しであれば、骨が柔らかく、そのまま食べても美味しくいただけます。”4.煮干しで健康促進!” で詳しく説明していますが、煮干しには体に良い成分がたくさん含まれているので、オススメの食べ方です。
一方、大きな煮干しになると、骨が固くなるだけでなく、内蔵の割合が増え、苦味が増してしまいます。

(2) 出汁を取る
出汁の取り方は、あっさりとした出汁を取る水出し法しっかりとした出汁を取る煮出し法があります。水出し法は薄味の料理に、煮出し法は濃い味の料理に適しています。

水出し法
材料: 水1リットルに対して、煮干し30g(頭と腹わたを取り除いたもの)

1.頭と腹わたを取り除く
煮干しを割り、頭と腹わたを1尾ずつ丁寧に除去します。※ 頭(エラ部分)は臭み、腹わたは苦味のもとです。

2.乾煎りする
フライパンで2~3分ほど乾煎りします。香りが立ち、魚臭さが軽減されます。

3.水を入れ、一晩置く
ボウルに煮干しと水を入れます。酸化を防ぐため、ラップをかけて冷蔵庫で一晩保存します。煮干しから旨味が溶け出し、水が薄く色づいたら完成です。

煮出し法
材料: 水1リットルに対して、煮干し30g(頭と腹わたを取り除いたもの)
※ 水出し法と同じ分量です。

4.火にかける
まずは、水出しと同じ方法(手順1~3)で出汁を取ります。取った出汁を鍋に移し、中火強にかけます。 ※ 時間のない方は、30分だけでも水に浸けてください。

5.煮出す
沸騰したら火を弱めます。アクを取りながら、さらに3~4分煮出して、うま味を引き出します。

6.ザルでこす
ザルでこしたら完成です。

【頭と腹わたと取る時間がないという方】
小さな煮干しであれば、内蔵の割合が少ないため、頭と腹わたを取らなくても、あまりにおいが気になりませんよ。

3.その他の煮干し

カタクチイワシ以外にも、あご、鯛、ホタテ、エビなど様々な煮干しがあります。ここでは代表的な煮干しをご紹介します。

平子いわし
真いわしが原材料です。カタクチイワシに比べクセがなく、コクのある出汁が取れます。
お味噌汁やうどん、煮物などのおだしに適しています。

うるめいわし
うるめいわしを原材料にした生産量の少ない煮干しです。甘くまろやかな出汁が取れます。お味噌汁やうどん、そうめんつゆなどのおだしに適しています。

かえりいわし
カタクチイワシの稚魚の煮干しです。流通量が少なく、他のイワシ煮干しと比べても高価です。内蔵・脂肪の量が少ないため、とても上品でありながら、パンチのある出汁が取れます。そのまま食べたり、佃煮にしても美味しいです。

あご
トビウオの煮干しです。澄んだ甘味のある出汁が取れます。お雑煮やうどん、塩味のラーメンスープにどうぞ。

鯛(たい)
縁起物の鯛の煮干しです。上品で澄んだ出汁が取れます。お米と一緒に炊くと鯛めしができあがります。お吸い物やスープなどにも使用されます。

干しエビ
主に瀬戸内海で採れる小さな赤エビなどが原材料です。出汁はそうめんつゆやカボチャなどの野菜の煮物に向いています。そのまま食べていただくのもよいですし、炒めものにすれば、旨味効果で調味料が少量で済みます。

ホタテ貝柱
ホタテ貝の貝柱の煮干しです。濃厚な出汁が取れます。炊き込みご飯やお雑炊、スープなどに使っていただくのが良いですが、そのままお酒のおつまみとしてもおいしく召し上がれます。

✓ 煮干しに似ていますが、煮ないでそのまま干す、「素干し」という食材もあります。スルメイカや田作りが有名ですね。
✓ 他には「焼干し」というものもあります。焼き干しとは、漁獲後に内蔵を取り除いてから、炭火で焼いたり焙ったりして乾燥させたものです。原材料にはマイワシやカタクチイワシ、アゴなどがあります。煮熟時に成分が出ないため煮干しと比較して、うま味成分が多く含まれている特徴があります。

4.煮干しで健康促進!

煮干しと言えば、うま味成分のイノシン酸が有名ですが、他にも体に良い成分がたくさん含まれています。丸ごと食べたり、だしがらを料理に使ったりすれば、煮干しの栄養を余すことなく吸収できますね。ご参考までに、カタクチイワシなどの煮干しには以下の成分が含まれています。

脳の老化予防脳細胞を活性化させるDHA(ドコサヘキサエン酸)
脳梗塞の予防血栓を溶かして血流を促すEPA(ドコサヘキサエン酸)
骨の健康維持骨のもとになるカルシウムに加え、カルシウムの吸収を促進させるビタミンD
高血圧の予防細胞内の余分な塩分を排出し、血圧を正常に保つカリウム
生活習慣病の予防コレステロール値を下げ、中性脂肪を減らすタウリン

5.煮干し出汁の料理

煮干しだしを使った料理をご紹介します。もっと知りたい方は”一覧: 煮干し出汁の料理”をご覧ください。

あごだし香る出汁巻玉子

だし巻きたまごはたまご料理の定番メニューですね。ここでは流行りのあごだし(トビウオの出汁)を使った出汁巻玉子の作り方をご紹介します。 調味料は煎り酒(いりざけ)を使い、塩分を抑えていますので、減塩料理としてもご利用いただけます。

6.まとめ

煮干しについていかがでしたか?ご覧いただいた通り、煮干しは種類が豊富です。楽しみながら色々と試し、あなた好みの煮干しを見つけてください。何から試せばよいか分からない場合は、一般的なカタクチイワシでおだしを取ってみてください。最後に煮干しの関連記事をご紹介します。

煮干し出汁の取り方

煮干しの出汁は料理の種類を問わず、幅広く使っていただけます。出汁のとり方もあっさりした味わいになる水出し方法としっかりした味わいになる煮出し方法があります。一般的なイワシの煮干し(カタクチイワシ、平子いわし、うるめいわし)の出汁の取り方と、煮干しごとの出汁の特徴と合う料理についてご紹介します。
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カリッと美味しい!食べる煮干しで健康促進!

煮干しというと「カルシウムたっぷりで骨にいい」というイメージですが、カルシウム以外の栄養もたくさん含まれています。煮干しの種類により栄養はもちろん味も食感も違います。この記事では食べる煮干しの選び方から煮干しの種類・栄養・効能をご紹介していきます。
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