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出汁を活用!赤ちゃんの味覚を育てる離乳食!

(更新日: 2022/7/29)

離乳食は赤ちゃんにとって母乳やミルク以外のはじめての食事です。母乳やミルクだけでは不十分な栄養素を摂取するだけでなく、赤ちゃんの舌を育てるうえでも、とても大切な役割を担います。離乳食と幼児食は子どもの味覚形成の時期にあたり、「3歳までに様々なものを食べさせると、好き嫌いの少ない子に育つ」などとよく聞きますよね。ただ、なかなか思い通りに食べてくれないのが、赤ちゃんです。さて、どうすれば色々な食材を食べてもらうことができるのでしょうか? この記事では、味覚と出汁の観点から離乳食のあり方をご説明します。

目次
1. 味覚の仕組みと赤ちゃんの好む味
2. 離乳食の味付けと注意点
3. 出汁を離乳食に取り入れる順番
4. 出汁の食物アレルギーと添加物
5. 出汁をカンタンに取り入れるテクニック
6. まとめ

1. 味覚の仕組みと赤ちゃんの好む味

ヒトには甘味、塩味、うま味、酸味、苦味の5種類の味覚があります。なぜ、ヒトが味覚を感じるのかというと、長い進化の歴史の中で、これらが生きるために必要だと判断されたからです。それぞれの味覚の役割を見てみましょう。

1.1 身体に "必要" であることを伝える味覚

■ 甘味
エネルギー源であることを伝えます。(砂糖など)

■ 塩味
ミネラルであることを伝えます。(塩など)

■ うま味
タンパク質であることを伝えます。(肉・魚など)

 

1.2 身体に "不必要" であることを伝える味覚

■ 酸味
食べようとしているものがまだ早いこと(=未熟)を伝えます。

■ 苦味
食べようとしているものが危険であること(毒など)を伝えます。

 
 

このように、生きるために必要な甘味・塩味・うま味(エネルギー・ミネラル・タンパク質)については、ヒトは「美味しい!」と感じるように進化してきました。これは赤ちゃんも一緒です。一方で、酸味や苦味は赤ちゃんが本能的に苦手な味です。赤ちゃんではなくとも、小さいころピーマンの苦味が苦手だった方も多いと思います。大人が酸味や苦味を食べられるようになるのは、繰り返し摂取することで、脳が無害な食材であると学習するためです。小さいころから様々な味に触れていると、学習によって様々な料理を楽しめるようになりますよ。

また、同時に嗅覚の育成も大切です。「納豆のにおいが苦手」、「しいたけのにおいが苦手」などは良く耳にしますよね。おいしさは味覚で決まると思っている方が多いのですが、実は嗅覚も重要なのです。赤ちゃんに色々な食材を食べてもらって、味覚と嗅覚を育てましょう!

2. 離乳食の味付けと注意点

赤ちゃんに色々な食材を食べてもらうには、「美味しい!」と感じてもらえるように味付けを工夫することが大切です。大人でも素材そのままでは食べづらいときがありますよね。これは赤ちゃんも同じです。味付けと言えば、塩や砂糖などの調味料が思いつくと思います。これらは生きるために必要であり赤ちゃんも「美味しい!」と感じます。しかし、だからと言って、塩や砂糖は赤ちゃんにいくらでも与えて良いものではありません。特に塩分と糖分の過剰摂取は赤ちゃんの身体に害をもたらす可能性があります。

■ 塩分
塩分(ミネラル)は生きるために必要な栄養素ですが、赤ちゃんの肝臓は未熟であり、塩分を消化する力がとても弱いです。肝臓への負担を軽減するためにも、調味料の塩は使わないようにしましょう。

■ 糖分
糖分(エネルギー)も生きるために必要な栄養素ですが、赤ちゃんが過剰摂取すると、肌荒れ糖尿病を引き起こしてしまう可能性がありますので、使用を控えましょう。

ですので、赤ちゃんに美味しいと感じてもらうには、うま味による味付けが望ましいです。うま味といえば、昆布、かつお節、煮干しなどの出汁に多く含まれています。また、和食の基本でもある出汁はうま味と香りで素材の味を引き立てる働きをします。つまり、出汁を使えば、塩や砂糖で味付けをしなくとも、美味しいと感じられる料理を作ることができます。さらに、出汁は適度なエネルギーやミネラルに加え、発育に必要なDHAやカルシウムなどの栄養素まで含んでいます。

出汁の特徴
✓ 素材の味を引き立てる「うま味」を多く含んでいる
✓ うま味に加え、赤ちゃんに害のない適度なエネルギーとミネラルを含んでいる
✓ DHA、EPA、カルシウム、各種ビタミンなど、赤ちゃんの発育に必要な栄養素を含んでいる
※ 全ての出汁素材が含んでいるわけではありません。詳しくは3章をご覧ください。

離乳食の味付けは味覚形成に大きな影響を与えます。調味料に頼りすぎると、舌が味付けの濃い料理を求めるようになり、嗜好が偏ってしまいます。将来的に生活習慣病になるリスクも高くなってしまいますので、赤ちゃんのことを想うのであれば、調味料の使用を控え、素材の味を活かした料理を作るようにしましょう。

3. 出汁を離乳食に取り入れる順番

では、うま味の豊富な出汁を離乳食に取り入れていきましょう。出汁と言えば、昆布、かつお節、煮干しなどが有名ですが、どれを離乳食に使えばよいのでしょうか?実は離乳食に取り入れる順番がポイントです。

出汁を離乳食に取り入れる順番
1. ゴックン期(生後5~6ヶ月): 昆布出汁
2. モグモグ期(生後7~8ヶ月): まぐろ出汁、かつお出汁
3. カミカミ期(生後9~11ヶ月): 煮干し出汁
4. パクパク期(生後12~15ヶ月): しいたけ等の色々なおだし
※ 各時期は赤ちゃんの発育状況に依存しますので、あくまで目安と捉えてください。

この順番について詳しく解説していきます。

3.1 昆布出汁(生後5~6ヶ月)

生後5~6ヶ月頃のゴックン期に適したのが昆布出汁です。昆布のうま味成分であるグルタミン酸は母乳にも含まれているため、赤ちゃんにとっても親しみやすい味であるためです。また、一般的な出汁の中で昆布アレルギーの発症率が最も低く安全という理由もあります。さらに、多少の塩分を含んでいますので、醤油(大豆アレルギー)の代わりとしても離乳食全期で活躍します。昆布には、カルシウム、鉄分、ナトリウム、ヨウ素などのミネラルが含まれていますので、栄養源としても優れています。

オススメの昆布: 羅臼昆布、利尻昆布、真昆布、日高昆布、昆布粉

3.2 まぐろ出汁、かつお出汁(生後7~8ヶ月)

生後7~8ヶ月頃のモグモグ期になりましたら、かつお出汁にチャレンジしてみましょう。昆布出汁と比べると少し魚臭いため、かつお出汁が苦手な赤ちゃんもいます。そのときは無理に食べさせず、クセの少ないまぐろ血合い抜き削りかつお血合い抜き削りで離乳食を作って、徐々に魚の匂いに慣れさせてあげてください。かつおやまぐろには、タンパク質、リン、カリウム、カルシウム、ビタミンD、鉄分などが豊富に含まれています。また、昆布と合わせ出汁にするとうま味の相乗効果が働き、より美味しく感じられるためオススメです。

オススメ: かつお削り、かつお血合い抜き削り、まぐろ血合い抜き削り、かつお粉、まぐろ粉

3.3 煮干し出汁(生後9~11ヶ月)

生後9~11ヶ月のカミカミ期になりましたら、煮干し出汁にチャンレンジしてみましょう。煮干しがこの時期なのは、他の出汁と比べると、塩分含有量が高く、もっとも魚臭いためです。ただ、煮干しはカルシウムやビタミンDに加え、脳の成長に役立つDHAやEPAなどが多く含まれているため、積極的に食べさせてあげたいです。また、煮干しも、昆布と合わせ出汁にするとうま味の相乗効果が働き、より美味しく感じられるためオススメです。

オススメ: かたくち鰯、うるめ鰯、平子いわし、あご煮干し

また、一般的な煮干しは塩水で煮て干して製造されているため、塩分量が高いです。
塩分量が多いと赤ちゃんに少し心配ですので、無塩煮干しのように塩抜きしてある煮干しがオススメです。
※ 無塩煮干しは塩水で煮ずに、何度も真水で煮て塩抜きをして作られます。

商品: かえり鰯(無塩煮干し)
カミカミ期(生後9~11ヶ月頃)

3.4 色々なおだし(生後12ヶ月~)

生後12~15ヶ月のパクパク期になりましたら、色々なおだしにチャレンジしてみましょう。干ししいたけ出汁は野菜出汁であるため、ゴックン期から使用しても良いのですが、匂いが強いため、苦手な赤ちゃんも多いです。また、少し宣伝になりますが、色々なおだしの味や香りに慣れさせるには、出汁専門店「おだし香紡」の万能だしがオススメです。いわし、しいたけ、あごなど6種類の出汁をブレンドしたおだしの香りを楽しむための無添加だしパックです。

オススメ: しいたけ、あご、無添加のだしパック など

4. 出汁の食物アレルギーと添加物

さて、離乳食で気を付けなければいけないのは、食物アレルギー添加物です。

4.1 食物アレルギー

海産物系の出汁には、食物アレルギーを引き起こす素材もあります。出汁素材(魚介類)のアレルギーであれば、特定原材料のエビ・カニ、特定原材料に準ずるサバ・イカ・サケに気をつけましょう。

<魚介類で気をつけるアレルギー>

海老(えび)

蟹(かに)

鯖(さば)

烏賊(いか)

鮭(さけ)

これらに気をつけていたとしても、食物アレルギーが絶対に起こらないとは言い切れません。食物アレルギーには、食後数時間以内に起こるタイプと、1~2日経ってから起こるタイプがあります。アレルギー反応が発生することに備え、はじめての食材は、少量かつ平日の午前中にあげることをおすすめします。少量であればアレルギー反応は最低限に抑えられ、平日であれば病院が開いていますから。

4.2 出汁の添加物

赤ちゃんの口に入るものですから、添加物の有無も心配ですよね。手間が掛かりますが出汁素材(かつお節や昆布など)から出汁をとれば基本的に無添加です。一方、液体だし、顆粒だしにはほぼ確実に添加物が入っています。また、だしパックも大半の商品に添加物が入っています。無添加と商品に書かれていても塩や醤油が添加されている場合がありますので、商品の裏ラベルをしっかりと確認する癖をつけましょう。酵母エキスなども遺伝子組換えのものを使用している可能性がありますので、心配であれば使用を控えた方がよいです。

<だしの種類と添加物>

出汁素材

液体だし

顆粒だし

だしパック

5. 出汁をカンタンに取り入れるテクニック

とはいえ、小さなお子様を相手にしていると、なかなか出汁を取る余裕がありませんよね。そのときに便利なのが、出汁素材の粉末だしです。粉末だしは、かつお節などの出汁素材を粉砕したもの。料理にそのまま入れて出汁を取ることができます。また、出汁素材をまるごと摂取できますので、栄養価も高くてオススメです。

昆布の粉末
ゴックン期(生後5~6ヶ月頃)

カツオと昆布の合わせ粉
モグモグ期(生後7~8ヶ月頃)

まぐろ粉
モグモグ期(生後7~8ヶ月頃)

もちろん、料理に時間を掛けられる方はかつお削りのような出汁素材やだしパックから出汁をとった方がより豊かな香りを楽しめます。

6. まとめ

離乳食への出汁の取り入れ方についていかがでしたか?ポイントは、① 調味料の使用を控えること、② 昆布、かつお・まぐろ、煮干し、その他の順番で出汁の味に慣れさせること、③ 食物アレルゲンと添加物に気をつけること、④ 出汁を取る時間がない方は粉末出汁を取り入れることです。離乳食に出汁を活用して、赤ちゃんの食育に役立ててください。

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